2004年11月09日

ニューコスプレ焼肉

 かなり久々にブログ更新!遅くなってごめん!!また感想&意見を書き込みしてね。アエラを二冊ほど読んだら、最後けっこう会話文でぷつって終わってて、書き方真似してみました。前半ほとんど先生かも(><)わからんかも知れないけどちょこちょこは変えてるねんけど…。


 「勘違いが腹がたつ」
ジューっと音を立てて、スジだらけの安そうな肉が、網の上で焼けていく。なれない手つきでひっくり返そうとするのは、医療介護の専門学校に通うリカさん(仮名)。
「あ、もう焼けてるよ、これ」と、あきらかに生焼けの肉をつかんで皿に移そうとする。箸の持ち方がぎこちない。やっとつかんだ肉も野菜もポロポロ落とす。そのたびに、はにかむ笑顔がかわいらしい。
 リカさんは、コスプレ喫茶で2ヶ月前から働いているアルバイトだ。黒いミニのメイド服に、セクシーな網タイツを着た彼女は、大阪・日本橋の「焼肉まる」(店名、仮称)で、夜の六時から十一時まで、お客さんのために肉を焼く。
 客は男性ばかり。食べ放題で四千円を払い、九十分のあいだ、肉を食べながら女の子との会話を楽しめる。女の子はテーブルに交代で二人〜三人つく。指名料千円を払えば指名もできるという。
 リカさんは、セクシーな格好に不釣合いなほど、どこかほのぼのとしていやらしさがない。どうして、彼女はコスプレ喫茶で働いているのだろう。
「やっぱり、時給がいいからかなぁ。一三○○円は大きいでしょ。家からも近いし。」
 答えながら、焼きすぎて黒こげになった野菜を皿にとってくれた。きっと普段は家で料理もしないのだろう。
「でも、明日でこのバイト、やめちゃうんですよ。」 彼女は少し残念そうにうつむいた。なぜ、やめるのだろう?
「じつはー、このバイト、彼氏にバレちゃったんですよ。それで別れちゃって。でも、ヨリ戻したいから、もうやめよかな、て。」
 なるほど。でも、なんで黙っていたのだろう。
「そりゃあ言えないですよー。彼氏どころか、親にも言えない。」リカさんの箸が止まった。
「べつにやましいことするわけじゃないけど、やっぱこんな格好だし、ね」
そういいながら、リカさんは改めて自分の着ている服を見回した。短いスカートからは、太ももがほとんどのぞいている。
 そのコスチューム、お店が選んで着させるの?
「ううん、自分で選べる。」
意外な答えが返ってきた。
「いつもは女子高生ぽい制服着てるんだけど、今日は気分転換てゆうか。セクシーなの着てみたかったの。これ友達と交換したんです。あ、お客さんのリクエストがあったら着替えますよー。」
 あとからテーブルについたアヤさん(仮名)も、
「そうそう。みんな毎回露出が少なめのやつを選んでるよね。毎回変えるのとかもめんどくさいしねー」と、あいづちを打つ。そういう彼女の格好は、ピンクサテン生地の激ミニナース服。
 コスプレ焼肉で働くということは、すくなからず客に性を提供することになるのでは?
「たまに勘違いして触ってくる人とかいるけど、そういう客が一番腹たつ。」
 アヤさんは、ふくれ面で机をポンッと叩いた。隣でリカさんもうなずいている。
「あと、やたらじろじろ見てきたりとか。ほんとキモいよねー。」
「うんうん」
 もう二人とも箸をおいて、話に夢中になっている。かわりに私たちが、残りの肉を網の上においた。
「でも一番ムカつくのは、自分らだけで話してて、私に無関心な客。」
「いるいる。かなりムカつくよねー。」
え、なんで?
「だって、私いらんやん?ってなるし。」
「だったら自分らだけでフツーの焼肉屋にいけばいいやんってかんじ。」
 話を聞いていると、彼女たちの言うことはどこか矛盾している。“コスプレ焼肉”には、男性が性的なものを求めて来ているということを十分理解しつつも、性的な目で自分のことを見られるのは嫌がっているのだ。
 「お客さんが“コスプレしている女の子”を見にくることはわかってる。だって私らそのためにお客さんが好きそうな格好してるんだから。」と、リカさん。
 「うん。そうそう。メイドとかナースとかって男のひと、好きだもんねー。でも、見るだけにしてほしい。もちろんフツーに喋ったりは全然いいけど、ケータイ聞いたりとか、必要以上のことされるのはうざい。」といって、二人そろって顔をしかめる。
 
「いやらしいのは制服だけ」
彼女達は、男性客への不満を口にするとき、二言目には、「ここはキャバクラと違うんだから。」という。
でも、それってどう違うの?
リカさんの箸がまた止まった。少し考えてから、
「キャバクラは女の子がそれこそ男の望むままに、演じたりしなきゃいけないでしょ?それに自分を売ってるかんじがする。」
「わかるわかる。いやらしいことされても、文句いえない気がするもん。」
じゃあ、ここで働くことに抵抗はないの?
「抵抗?そりゃ彼氏とか親のこと考えたらちょっとはあるけど、自分自身ではないよ。」
リカさんは、なんで抵抗あるの?とでも言いたげな顔でこっちをじっと見返した。
「だって、ただの焼肉屋さんだもん。こうやってフツーにお客さんと話して、肉を焼いてあげるだけだよ?」
そう、彼女らにとってこの場所はあくまで焼肉屋さん。
彼女らにとってキャバクラは女性が性を売る空間。逆にコスプレ焼肉はコスプレが性を背負い、自分たち自身は性を売っていない空間なのである。
 彼女らにとって、性を売ることはそんなに簡単なことではない。少なからず、抵抗があるのだ。だからこそ、コスプレやコスプレ焼肉という空間によって、性の認識を変えているのだ。
 ふと、彼女らを見ると、お互いの彼氏の話をしながら盛り上がってる。さっき頼んだごはんのことは、もうすっかり忘れている。
リカさんがぎゃははっと大声で笑い、「何言ってんの!」とアヤさんがつっこみを入れる。
 彼女たちは、あくまで自然体だ。そこにはいやらしさは見受けられない。いや、むしろいやらしく見られないように努めているのかもしれない。
「いやらしいのはコスチュームだけ。」そう言いたげだった。
「じゃあ、そろそろ帰るね。」 
腰をあげると、やっと気づいてあたふたと立ち上がろうとする。勢いあまって箸が落ちた。
帰り際、「今日はありがと。また来てねー。」とリカさんが手を振った。明日やめるんじゃなかった?と聞くと、あそうだったと舌を出した。
「でも、もしかしたらまたいるかもしれない。ただの飲食店のバイトだって彼氏に理解してもらうつもりー」


posted by なおみ at 22:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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