2004年10月14日

コミケ改訂版2

コミケに熱狂
まだ七月半ばだというのに、夏本番の強い日差し。照り返す太陽がまぶしい。目の前にはすでに一糸乱れぬ、長蛇の列が出来ている。ここは南大阪のじばしんイベントホールである。今日はここを会場としてコミケが開催されるのだ。私たちは戸惑いながらもその後に続く。まわりを見渡すと、ビジュアル系の集団やTシャツにGパンというごく普通の格好の人もいてそのいでたちは様々である。しかしどこかしら似たような雰囲気が漂う。手には大きい荷物とそれぞれパンフレットを持ち、10時に開くはずのドアを今か今かと見つめている。
 10時きっかりにドアが開いた。その瞬間、周りの女の子たちがいっせいに駆け出す。何が起こったのか一瞬わからず、そして慌てて後に続いた。入り口のトイレはまたまた長蛇の列。男子トイレはそれほどではないものの、女子トイレは凄まじいことになっている。中を覗くと、みんな必死で作業にとりかかっている。大きな手荷物からなにやら取り出し、着替える者。メイクを念入りに始める者・・・。そう、彼らは皆コスプレイヤーだ。コミケのイベントではあるものの、コスプレをメインにして来る者も少なくないのである。
会場の中に入ると、コミケらしくすでに同人誌の販売やアニメのキャラクターの手作りグッズなどが通路の両側で所狭しと販売されている。そうこうしている間に、会場はあっという間に人がいっぱいになった。いつの間にか、レイヤーたちがどんどん増えてきている。今回は、主にジャンプのアニメがメインらしく、レイヤーには「テニスの王子様」、「鋼の錬金術師」、「NARUTO」のコスプレが多い。しかし、それ以外にも色々いる。ハリーポッターコスプレの「ポッタリアン」や、天使に、ガンダムなどである。

数時間の別世界
 その中で、ひときわ目立っている女の子が目に止まった。一見、モデルと見間違うくらいの細くて長い足が鮮やかな水色のミニスカートから伸びている。上に羽織った長いオレンジのひらひら上着が、スレンダーな体型を強調している。彼女のまわりには、不思議な雰囲気が漂っていた。
彼女はとても知り合いが多く、歩くたびに声をかけたり、かけられたりしている。これが本城貴嶺さん(仮名)の第一印象である。彼女は若干18歳。その年齢には似つかわしくない、大人びた顔と、はきはきした喋り方。なぜ、彼女はコスプレをするのだろうか。
「家がコスプレ用の服を作っているっていう影響もあるけど、やっぱり自分の趣味かな。ちなみに今日のコンセプトはガンダムのラクスなんです」。彼女の家は、「えんじぇる★も〜ど」というコスプレ制作のお店を出していて、主に通販で売り出しているという。彼女が堂々と会場内を闊歩するわけは、その着ている商品の宣伝のためでもある。
 しかし彼女がコスプレをするのは、宣伝だけのためではない。「やっぱりコスプレをやるのには、違う自分になれるっていう楽しみがあります。毎回キャラクターを変えるたびに、衣裳も変わるし、新しい自分になれる感があって…」。それは今の自分に満足していないということなのだろうか。常に求める違う自分や新しい自分。その裏側には、現代社会への不満や、自己に対する不満があるのでは?
「そんな大袈裟なもんじゃないですよ。ただ楽しいじゃないですか。その数時間だけは現実とは違う世界にいて、いろんなキャラクターの人と喋って盛り上がるのって。それが終われば衣裳も脱いでまたいつもの自分に戻るんですけどね」カラカラと笑いながら、喋るその様子は、どこかさっぱりしていて割り切っている感じがした。
 それにしても会場には女性が多い。8割以上は女性である。いわゆるカメコという存在はほとんど見当たらない。コミケには、コスプレ焼肉やメイド喫茶のような、男性の視線はない。その理由を尋ねると、「そういう風に見る人は嫌がられるんですよ。いやらしい目で見られるのがいや。ナンパならよそでやれって感じです。みんな女として褒められるより、衣装とかキャラを褒められる方が嬉しいんですよ」と言う。たまに見る、露出の多いコスプレは?「なりたいキャラクターが偶然露出が多いだけですよ。男性が多そうな会場では着ないようにしています」。

素の自分じゃおもしろくない
 それにしても彼女は、うまく“自分”というものと“コスプレイヤーとしての自分”を使い分けている。例えば彼女の名前、これはもちろん本名ではない。コスプレイヤーならほぼ全員が持っている、この世界での“コスネーム”なのだという。本城貴嶺として、そのキャラクターになりきることで匿名の世界でめいっぱい楽しむのだ。ただコスプレをするのではなく、そのキャラクターになりきることはそんなに重要なことなのだろうか。
「うーん、重要というか・・せっかく何かのキャラクターの衣裳を着るのに素の自分じゃおかしいし、つまんないでしょ。でも会場内でずっとそのキャラを維持するの、なかなか難しいからみんな一番なりきるのって、やっぱり撮影のときじゃないですかね」。
この一言で、会場内で見かけたさまざまな風景に対する違和感が一気に解消された気がした。そう、コスプレイヤーの人々の多くは“撮影”を目的として足を運んでいる。あちこちで見られるフラッシュの嵐。そんなとき、撮られる側のレイヤーたちを見てみると、決まってなにかのポーズを作る。普通のピースはまずあり得ない。必ず自分がしているそのキャラクターを端的に表すことのできるポーズを作るのである。この貴嶺さんも例外ではない。何度か撮影に応じてくれたとき、決まって色々ポーズをつけてくれる。そこには照れなど生じない。カメラに撮られる瞬間、もう“自分”ではなく“本城貴嶺”としてそのキャラクターになっているからである。しかし、それは会場内だけに限られるという。会場の外でまで“コスプレ”をするのはルール違反。それはコスプレイヤーたちの間で暗黙の了解なのだという。

被るキャラクター
 更に会場内の、一人一人を観察すると、ある面白いことに気が付いた。彼らには法則がある。それは仲間を通じて、その作品を完成させようとすることである。その中で彼らにはキャラクターの設定があり、それぞれがキャラクターになりきり、作品を楽しむ。しかし、当然ながら人気のあるキャラクターなら必然的に他の人と被ることもあるだろう。
 「確かに、レアキャラとかじゃない限り、メジャーなアニメはキャラが被りがちですよね。だからみんな最近アレンジするんです。ただし、あくまでもそのキャラの特徴とかは変えないんです。微妙に色を変えたり模様を変えたり。自分のオリジナルでそのキャラを表現するんですよ」。
このアレンジというものには、少なからず、現代社会に充満する「個性主義」を感じてしまう。人と同じでは嫌。自分オリジナルを求める傾向である。もちろんレイヤーの全ての人がそうではない。しかし本来キャラになりきるはずの没個性のコミケ社会にも、個性主義が侵入し始めているのかもしれない。

コスプレはどんどん広がる
最後に彼女に質問した。今後コスプレはどうなると思う?「今はまだコスプレは社会には反適合な感じがします。全体的に偏見の目とかあって認められてないっていうか。でも、これからどんどん広がると思います!もうすぐ社会に求められるんじゃないかな、コスプレが。そうなったとき、私たちを偏見の目で見てた社会を見返したいですね」にっこり笑って最後に彼女はこう言った。
 いわいるおたくのように「自分らの文化は一般人にわかるはずがない」というスタンスではない。社会に反適合と見られていると自覚するからこそ、「変な人たち」とみられないように、レイヤーはルールやマナーと言ったものを厳守する。コスプレが社会に求められる時代、果たしてそんな時代は来るのだろうか。いや、もう近くまできているのかもしれない。彼女の言葉はそう思わせられるほどに、妙な説得力を持っていた。



 最初の部分は言ってたとおり服装の描写を付け加えてみました。あと、奥本くんの論ぽいところをやわらかく言い換えてみたんだけどどうでしょう?やっぱり、このアレンジ=個人主義の侵入ってのは最後のまとめにもつながるし、肝心なとこやと思うねん。柳田くんのニュアンス的な文章も、レイヤーが個性を出してるというのは伝わってくるねんけど、「人とは違う。アレンジした自分らしいコスプレ。瞳を輝かせてそう語る、ひたむきな一人の少女の姿がそこにはあった。」からは、なんか「アレンジする楽しさ」みたいなのが全面的に伝わってきて、一番言いたい「近代社会にある個人主義の侵入の批判」みたいなのがあんまり伝わってこない。だからやっぱりやわらかくしてでもうちらの見解は書くべきではないかな?
posted by なおみ at 00:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
基本的に個人主義んとこの見解は岡本派やねんけど、野田ちゃんはどうよ?こーへいの書き替え方は個人主義離れすぎかなとは思う。アレンジ肯定にみえるなぁ
Posted by かずき at 2004年10月14日 00:39
私も見解は一緒よ。書き方がかたいかなってこの前読んだときはひっかかってんけど、インタビューの言葉のすぐ後にはいってるし、長々と述べてるわけでもなかったから読めたでよ。やっぱり大事な部分やしこのくらいわかりやすい文になってたら必要だと思った!!
Posted by まなみ at 2004年10月14日 02:30
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